第2章 彼のコーヒーミル

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その優しさが、今の私を追い詰めるから。 「ごめん。やっぱり今日は帰る」 手の甲で涙を拭っても、顔を上げる勇気はない。 私の長い髪が顔を覆ってくれててよかった…。 「…わかった。送ってくよ」 「いい…」 「その顔じゃ電車に乗れないだろ」 「…」 修ちゃんに甘えるのはこれで。 これで最後にしよう──。 *** ───数日後。 自宅に修ちゃんから小包が届いた。 中身は、あの時見たのと同じ蓄音機型のコーヒーミル。 ≪Happy Birthday≫のカード付で───。 .
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