第3章 彼と赤いワンピース

2/38
4368人が本棚に入れています
本棚に追加
/598ページ
あんなことがあったからだろうか? 久しぶりにあの夏の日の、夢を見た───。 そこは母方の祖父の別荘。 有名な避暑地にある生い茂った森のずっと奥…。 ひっそりと建てられたその別荘に、子供の頃から親戚と一緒に過ごすのが通例になっていた。 そこは元気だった母の両親、祖父母のお気に入りの場所で。 集まるのは母の姉夫婦と二人姉弟の修ちゃんと幸(サチ)姉ちゃん。 そして私たち家族3人を合わせた総勢9人。 私には兄妹がいなかったから、この別荘で修ちゃんと幸ちゃんと過ごすのが楽しみだった。 3人で秘密基地を作ったり、虫を取ったり。 3つ年上の修ちゃんとその一つ上の幸ちゃんには妹のように可愛がってもらったっけ。 今、幸ちゃんは海外へ行ってしまった両親の代わりに自宅を守ってるらしい。 そろそろ結婚?なんて噂もある。 修ちゃんは今と変わらないスマートな大人しい男の子だった。 .
/598ページ

最初のコメントを投稿しよう!