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そんなに長い時間ではなかったのかもしれない。
修ちゃんは髪を梳く手を止めると、私が握っていたカップをそっと取り上げて。
寄りかかっていたテーブルからカツンとカップを置く音が響く。
私はどうしていいかわからずに、取り上げられたカップの行方を捜していると、
「こっち向いて」
顎をさらわれて修ちゃんと目が合った。
黒い瞳が私を見つめている。
こんなに近くで修ちゃんの顔見たことないかも…。
「花…」
その声にピクッと体が揺れる。
見下ろす顔はいつになく真剣で。
……修ちゃん…。
「花、俺────」
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