546人が本棚に入れています
本棚に追加
「まぁ、その件に関してはクロに聞いても無駄だと言うことは分かっています」
じゃあ、聞くな
「私が聞きたいのはクロ自身の事です。
事前に調べた報告書によれば記憶が無いとか?
日本のある公園で目撃されたのが初めで、それ以降は逢魔屋の者として働いている
と言う事までは分かっていますが、公園で目撃される以前の経歴が全く無い
其れこそ、忽然と現れた様な奇妙な現象です
有り得ない、どんな者でも少なからず痕跡が残る
なのにクロは何一つ無い
異常ですよ」
ごめんなさい、忽然と現れたました
でもそれ、内緒だから言わない
『変な事言わないで下さい。そんな事有るわけ無いじゃ無いですか
まだ要点がハッキリしていませんね、何が言いたいんです?』
「‥‥‥血統ですよ」
風がジルベルトの黒い髪を揺らし、青い瞳が一層鋭く俺を捕らえる
酷く威圧的でこの白く冷たい雪よりも冷たい視線
「似すぎています」
『意味が分からない』
「我が一族、失われた血統、初代“ノエル”に似すぎている」
やっちまった‥‥‥
.
最初のコメントを投稿しよう!