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「あら、クロ。今日こそ私の相手をして下さるわよね?」
あれから数日、俺の店での知名度は上がっていた
今みたいに妙齢のご婦人にナンパされたり、年齢問わず様々な客に声をかけられるが
中にはセクハラをしてくる客もいるので気が抜けない‥
さっぱりと言って良いほど、接客や洗練された礼儀等
知らない俺だったが1つ大事な事を忘れていた
『申し訳ありません、奥様は未だ御自分の美しさにお気付きで無いのでしょうか?
悪戯にその美貌で微笑まれたら私が世の男共に殺されてしまいます』
ヤベェ、今なら恥死に出来る‥‥
「ふふ、相変わらず口が上手いわね。やっぱりこのサロンを辞めて家に来ませんこと?」
『身に余る光栄で御座います』
「なら‥」
不意に目の前のご婦人の唇に人差し指を当て、いかにも切なそうな顔をして微笑む
「はぁ‥分かりましたわ、私も貴方をこれ以上困らせてはいけないわね」
これぞ絶妙な大人の対応
ノエルのスキル様々!
そう、ノエルは元々万能執事の様な事をしていたのだから礼儀や作法など
息を吸って吐くような自然な動作ですることなど朝飯前
にしても甘い台詞はキツイ
何より俺が言ってると言う事がキツイ‥
ホストにでもなった気分だ
この言葉をあのノエルが言ってたなんて想像出来ないのだが‥
時々かけられる様々な誘いを丁寧に交わしつつ、俺を目の敵にするチワワ達の雑用もこなして行く
上司であるクライブの敵は皆の敵らしく、シンデレラ並みにこきつかってくるチワワ達
面倒に思いながらも律儀に仕事をクリアする俺に
まだ、数人だが普通に接してくれるスタッフも出てきて
少しやりがいが出てきた今日この頃
ストーカーの事も忘れそうになるくらい充実した日々☆
と言うか、今日は何気にクリスマスだったりするので結構忙しい
従ってストーカーの事は脳みその隅に追いやっている
ジェロームの側には常に婚約者様(笑)
そして、この店の警備をジルベルトがしているのでそこまでピリピリしていない
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