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まんまとジルベルトの誘導で着いて来てしまった‥
このサロンで一番豪華なVIPルームには、ジルベルトとジルベルトが仕える“ボス”
そして、ジェロームとクライブは向かいのソファー、ストーカーを拘束する俺は2人の横で立って控える
(ストーカーは踏みつけているだけ、だけどね)
「ウィル様、此方がクロです」
「‥ああ、例の。にしても、色合いこそ違えどここまで似ていると亡霊でも見ている様だな」
ウィル・バージル(32)
淡い金髪に綺麗なアイスブルーの瞳、体格もガチムキで無いにしろガッシリとしていて
長い足をゆったりと組み、まさに、王者な雰囲気を垂れ流しにした男
この豪華な部屋にいて尚、その存在は霞む事なく座っているだけでも威厳と風格を纏うとんでもないカリスマ性が滲む
しかも、まさかまさかのノエルの昔の主であるグラディスの直系で尚且つ
その風体、顔の造形はグラディスにそっくり
何て迷惑な
そのせいで俺の中のノエルが不安定に騒ぐ
「そうですね、現存する古い写真に写る彼に生き写しです」
ウィルは、フランスを拠点にその絶大な力を行使するマフィアのトップで
ルーツはイギリス、本家もイギリスのバーミンガムに有るらしく
今回は、わざわざ俺を見るために来たと語った
出来ればあまり此方を見ないで欲しい切実に
「‥うう」
1人頭の中で激しくパニックっている俺の足下で、ストーカーことリシャールが呻く
何と呆気ない終りだろうか‥
最初血だらけで現れたリシャールは、鬼気迫る勢いがそのクマだらけの目から感じられた
しかし、その気概とは反比例して身体はボロボロ
俺が砕いた使えない右手は、充分に治療をしなかったのかギブスさえしていない腕が酷い事になっていた
きっとその時点で、下の駅にいた警備の5人でリシャールの体力は尽き欠けていたのだろう
元々、肉弾戦より遠距離後方支援型タイプのリシャールには合わない特攻だ
死ぬ気だったのは明らかだった
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