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香織は入院してから絶食、病室から出るのを禁止にされ、毎日暗い顔で窓を眺めていた。
「香織、着替え持って来たで~」
あたしは病室に入る前、深呼吸をしてから手指の消毒とマスクを付け、香織の病室へと入る。
幸い、今回の入院は小児病棟が空いて無く、一般病棟の為あたしは入れた。
「葵……ありがとう、なんかお腹すいたわ」
「まー、胃潰瘍が治ったら食べれるしダイエットやと思えばええやん」
「そうやなー私、最近太り気味やし」
そんな何気ない話しをしながらあたし達は笑っていた。
でも、今から思えば香織は無理に笑っていたと思う。
「香織、おっちゃんから電話あったで?絶対香織の事心配してるよ」
「うん、葵が来る前にお父さん来てくれた!……なぁ、葵…私な看護師さんになろう思うねん」
今までマイナス思考だった香織が珍しくプラス思考で久々に見た笑顔を輝かせながらそう言った時、あたしは嬉しかった。
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