序章

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1990年10月20日にあたし(葵)といとこ(香織)は生まれた。 あたしは午前3時46分生まれ、香織は5時15分生まれだ。 あたし達は母方のいとこだけど生まれた時からずっと一緒で離れてる方が不自然だった。 香織は生まれつき腎臓が悪く、それでもみんな優しく楽しく笑っていたと私は思う。 でも香織の家の異変に気づいたのはあたし達が10才の時。 ある日、あたしの母がこう言う。 「かおちゃん、洋子に虐待されとる」 洋子は香織のお母さんの名前だ。 うちのお母さんと香織のお母さんは姉妹でうちのお母さんがお姉ちゃん。 「虐待って? なぁ、お母さん……香織がよく怪我してるんはおばちゃんが悪いん?」 まだ虐待の意味がわからないあたしは母に問いかけ続けた、でも母は泣きながら父にわけを話して、4つ上のお兄ちゃんがあたしに「葵も行くか? でも絶対兄ちゃんの後ろから離れたらアカン」 そう言われたからあたしは大きく頷いてお兄ちゃんの手を握る。
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