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うつ病の本に書いてある事の共通点は「頑張れと言うのは禁句」だった。
でもあたしはまだ意味がそんなにわからなくて何がやねんって言って本を投げた。
「葵!!」
「お兄ちゃん、香織はただ甘えてるだけや、病気やない!!」
本を投げたあたしを怒る兄に向かってあたしがそう言うと頬に強い痛みが走った。
それはお兄ちゃんがあたしの頬をビンタしたのだ。
「何すんのっあたしはほんまの事しか言うてない!!」
その直後、母から静かにこう告げられた。
「今のは葵が悪い。
かおちゃんはな、今まで頑張ってて頑張り疲れたからうつ病になってんや、そやからお母さんらがわかってあげんとアカンのや」
あたしは母のその言葉を聞いて、一番辛いのは香織だと気づき、香織がいる部屋へと向かう。
「香織、この前はごめんな?一番辛いのは香織やのに、あたし…なんもわかってなかった」
あたしの声に香織は反応すらせずにただ布団の中でぼんやりと天井を見上げ、涙を流し続けていた……。
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