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『違いますよ!!ヒバリさんもあなたも、全然違う!!…だって、十年前のあなたはそんな風に寂しそうな目をする人じゃなかった!!』
十年前の雲雀はただ力が強いだけじゃない。
どんな逆境にさえも微動だにせず、いつも通りの不敵な彼のままだった。
その強さに時には怯え、そして憧れた。
自分も彼のような強い男になりたいと。
だが今の彼は目も宛てられないほど変わってしまった。
今にも心が折れてしまいそうで…
そんな雲雀の姿を見ていられなくて、綱吉は懸命に訴えた。
綱吉の言葉に面食らったように雲雀は目を見開かせ、困ったように髪を掻き上げ苦笑する。
『あーもう、君って本当に……十年前からちっとも変わらないんだね』
(生意気で…無駄に暑苦しいところとか)
『あ…えっと、すみません…やっぱり十年後の俺もこんな風にウザかった、ですよね?』
『うん。とっても』
しらっと無表情ながら至極あっさりと雲雀は言ってのけた。
そんな雲雀の返答に、そんなハッキリと言わなくても…と綱吉は内心ショックを受ける。
『あー…うー…ごめんなさい』
『でも…こんなことになるぐらいなら、もっと相手にしてあげるべきだった…』
いなくなって初めて大切なモノに気付くとは正にこのことだ。
だが全てはもう既に遅すぎた。
あれだけ身近にいた存在はもういない。
彼の明るくて元気な声も聞けない…
眩しいくらい無邪気な笑顔も見れない…
彼の細い身体をこの胸の中に抱き、暖かな温もりさえも感じることは叶わなくなってしまった。
どれだけ悔やんで自分も責めても仕方がない。
時間はもう元には戻らないのだから…。
脳裏には幾度となく何度も何度も
最期に目にした彼の死に目のあの無惨な姿が蘇って来る。
苦しさに堪えながらも、にっこり笑い、自分へと真っ直ぐ手を伸ばそうするあの姿が…。
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