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『……これって、僕のこと慰めてるつもり?』
『………分かりません。でも、どうしてもほっとけないんです。
だから、あなたさえ良ければ、もう少し…このままでいていいですか?』
広くて大きな背中にそのまま突っ伏すように顔を埋める。
『…別に構わないけど…ねぇ…君、解ってる?僕にも男としてのプライドがあるってこと』
『へ?』
綱吉がキョトンと不思議そうにしていると、あっという間に立場は逆転し、お互いの身体が向き合うように向き直った雲雀によって今度は自分が真正面から抱きしめられることになる。
『どうせならこっちの方が僕にはちょうどいい』
『あ、あのぉ、ヒバリさん。ちょっとこれは流石に恥ずかしいような気が…』
後ろから自分が抱きしめるのと相手から抱きしめられるのとでは大して差がないようで結構違いがある。
真正面から抱きしめられる体勢だと自分から抱き着いた時よりも相手との密着度がより一層増すような気がするから。
『…何?先に引っ付いて来たのは君だろ。黙って大人しくしててよ』
『えっ?…えっと…あ、はい…』
ジタバタと微力な抵抗を続けた後、綱吉は結局、雲雀の腕の中で大人しくなった。
雲雀はそんな綱吉の小さな身体を自分の腕ですっぽりと包み込むように更に力強く抱きしめた。
決して折れてしまわないように。
十年前、縮めることが出来なかった彼との距離を長い時を掛けて今ようやく埋めていくかのように…。
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