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しばらく考えるそぶりを見せた後、雲雀が口を開く。
『……つまり、君は僕のこと呼び捨てにしたいと?』
『え?いや、別にそういうワケじゃなくてですね!てか、呼び捨てなんてそんな…』
先程からなんだか彼の醸し出す雰囲気が変わり始めた気がするのは、自分が何かおかしげなことを言ってしまい、それが元で彼の機嫌を損ねてしまったんじゃ…?と焦りだした綱吉は、ブンブンッと懸命に首を横に振る。
例え本当に呼びたかったとしても恐れ多くてとても出来ません!と流石に本人の前で言えそうもない。
もし口に出そうものなら、言ったその時点で咬み殺されかねない。
すると雲雀は、そんな綱吉の奮闘ぶりなど最初から興味が無かったかのように視線を何処か遠くへ逸らす。
怒るどころか静かに瞳を伏せ、なんだか哀しそうにゆっくりと言葉を紡いだ。
『…同じだよ。どちらにしたって、僕と彼の生き方は変わることなんてないんだ』
(君という人間に関わってる時点でね…いずれは僕と同じ運命を辿ることになる)
゙彼゙
同じ人間なのにまるで他人行儀な呼び方。
心の何処かで過去の自分を否定したかったのかもしれない。
全く違う人間なのだと…。
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