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老夫妻のオーダー状況を確認したマス ターは一方の、一番遠い店内の入り口扉の真横に設置されていたテーブルに座る客へと視点を移していた。
僕も、彼の視線の先を遅れまいと追う。
すると僕の視点は、焦点が定まらない程 の巨漢の男が支配し、明らかに椅子の座 面より大きな体積を乗せた椅子の脚に悲 鳴をあげさせていた。
男は山のように幾つもの皿が積み上げられたテーブルの一角で、センターピースのスープチューリンを取り分けもせずに、そのまま音を立てて吸い上げている。
閉店時間も近付く店内に、オーダーがそれほど忙しく無い状況を案じたマスターは、僕の座るテーブルの手前に置かれた空席のラダーバックチェアを引き寄せ、腰を下ろした。
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