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「拓也君、悠♪早くしないと次の授業送れちゃうよ♪」
悠紀の隣に見慣れた女子が姿を現す。
「ひょっほぉーーーーう!!天使だ!我が校の天使がうちのクラスに舞い降りたぞ!!」
「うおっ!ほんとだ!いやー、ほんとにかわいいなぁー滝口さん」
「たまんねぇー!!マイスイィートエンジェエェェェル!!」
それと同時に、あたしのクラスの男子が発狂し始めた。
しかし、それも無理はない。
なぜなら、悠紀を更に上回る完璧人間。
滝口美樹が姿を現したからだ。
そして、この美樹があたしの恋を終わらせた理由だ。
昔は3人でよく遊んでいた。
美樹もあたしも、ずっと悠紀に『将来悠紀君のお嫁さんになるー』と言っていた記憶がある。
お父さんの仕事の都合で一度引越しをしてしまってからも、あたしはその約束を絶対に忘れなかった。
だけど、やっぱり時の流れというのは残酷だった。
あたしが引越しをしてここをはなれている間もずっと一緒にいた二人は、当たり前のようにお互いを好きになり付き合い始めた。
その事を知った時、私は本当に悔しかった。
仕方ないとわかってはいても、引越しをする原因となったお父さんに八つ当たりもしてしまった。
今思えば、お父さんには本当に申し訳ないと思う。
でも、あの時のあたしにはそうすること以外で自分を保つことができなかった。
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