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「でね、でね!あーちゃん、聞いてよ!俺が必死に点決めるんだけどさ、サッカー部なのに!俺が入れたら次は相手チームにいた悠紀に必ず決め返されてさぁ…」
「そうなんだ…。やっぱり悠紀はかっこいいね…」
「あ、あーちゃん!?俺は!?俺もかっこいいでしょ!?」
「あっ…」
ここでふと我に返り、しまった!と罪悪感を感じてしまう。
正直なところ…。
あたしはたっくんよりもまだ悠紀のことが好きだった。
たっくんの事が好きなのも事実だ。
だけど、やっぱり悠紀には敵わない。
それが悪いことも自分で分かっているし、最低だとも思う。
でも、たっくんと付き合っていればたっくんはもちろんのこと悠紀とも一緒にいられる。
本当に最低な話だが、今のあたしはそれが幸せだった。
「おい、拓也。いい加減にしろよ」
「あぁっ!?くそっ!離せ悠紀!俺はまだあーちゃんと話したいんだ!!」
悠紀に襟元をつかまれ、じたばたと暴れるたっくん。
「放課後になれば好きなだけ話せるだろ…。彩香、ごめんな。せっかくの昼休みに」
「ううん。…気にしないで」
だって、たっくんが来てくれたおかげでこうやって悠紀と話せるから。
そう考えれば考えるほど、無邪気にあたしに向かって手を振るたっくんの姿が辛かった。
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