あめふり

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僕は、そらを見あげた。 あめは、まるで僕を中心にして、ふっているようだった。 そんなこと、あるはずないのに。 にんげんだろう、きっと僕も。 だからだ、だからこんな。 こぶしをゆるく握った。 かさは、ささない。 今日は、濡れてかえろう。 あめが、地面を焦がす。 より真っ黒になったアスファルトは、僕のこころとぴったりとリンクした。 ある湿った、梅雨の日の午後のことであった。 .
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