特技は瞬間移動

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僕は、顔は普通。身長は169センチ。 体重は59キロ。学力は中の中…の中くらいで、特にサッカーが上手いわけでも 野球が上手いわけでもない。普通な人間である。…実に普通な人間である。 …しかし、僕にはただ一つ普通じゃないことがある。それは、『瞬間移動』が使えると言うことだ。 この『瞬間移動』というのは、 自身がどこかへ移動させる『テレポート』や 遠くの物を手元に移動させる『アポート』や逆に手元にある物をどこかに移動させる『アスポート』のことである。 …僕は恐らく生まれた時からこれが使えた。 だから、テレビのリモコンが届かなくて苦労したことは無かったし、ゴミ箱に投げ入れようとしたゴミを外して拾いに行ったこともなかった。 そんな風に生活してればこの驚くべき一芸で人気者扱いされたかもしれないが 家が母子家庭で母親が家を空けることが多かったため この能力が他人に知られる前に『自分以外この能力が使えない』ということに気づき人前で使うのを止めた。 それはもちろん人に好奇の眼差しで見られたくなかったからだ。 幼い僕にもこの能力が摩訶不思議なことは十分理解できた。 そうやって 誰にもこの能力を明かさないまま 僕は今日高校2年生になる。
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