小さな悲劇

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わたしは母親のことをあまり覚えていない。 ずっと誰かにおびえ、わたしに謝り続ける母しか覚えていない。 体も、心も、弱い人だった。 ―――守らなきゃ 幼い心で、わたしはそう思っていた。 だけど――― 彼女は病気で倒れてしまった。 まわりにいる大人逹は誰も助けてくれなかった。 必死に働いた。けれども、わたしはまだ7歳。少ししか、お金は手に入らなかった。 一日に2時間だけ寝て、 それ以外の時間は全て働いた。 とてもしんどかったけれど、母が生きてさえくれれば、それでいいと思った。 その人は、 病気で倒れてから、一年と半年で亡くなった。
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