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章はそこに副署長として配属される予定だ。
「しかし…妙な警察署だよな…?」
章が気がかりだったのは、金島の犯罪発生率と金島中央警察署の検挙率だった。
…なんとこの5年間、実に検挙率95%という非現実的な数値が報告されているのだ。
それと同時に5年前から驚くほどに犯罪発生率も低い。
つまり、犯罪も大した件数は発生していないが、犯人は95%捕まっている事となる。
コンピュータのミスか何かの手違いではないかと疑念を抱く同僚も多かった。
それに加えて、出発間際の上司の台詞―。
《まぁ、いい経験だろう。…お前みたいな働き者の警察官としては少し辛い状況かも知れんが…》
「あのハゲ…!結局あの後、肝心な事はいくら聞いても教えてくれやしない…。」
憎々しげにそう呟くと、前に少し身体をずらし、背もたれにしっかりと身体を預ける。
車窓の外では景色がもの凄いスピードで飛んでいく。
「…まぁでも、楽しみといえば楽しみだな。…暑いんだろうな、金島。」
そのまま、どのくらいそうしていただろうか。
―章は気づけば眠りについていた。
「ん…?」
周囲のガヤガヤという音で目が覚める。
ふと周りを見渡すと、どの乗客も荷物を手に立ち上がっている。
「あっ…やばい、もう着いたのか!?」
慌てて荷物を掴み、新幹線から駆け降りる。
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