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ざりざり。
物音がした。
ガレキを踏み壊し進む様が容易に浮かぶ。
今度は気のせいじゃない。
ヤツが近づいてきてるんだ。
音のする方を慎重に聞き分けてボクは身を隠せる場所を探す。
ビルに反響しあってわかりにくいけど、近づいてくるにつれはっきりしてくる。
足が細かく震えていた。
ぬるぬるとした液体も体中に滲む。
暑いのか寒いのかさえも分からない。
ちょうどいいスペースを見つけられたのは本当にラッキーだった。
ボクは倒壊したビルの支柱と横転した自動車の作りだす物陰に身体をすべり込ませた。
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