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近付いてくるガレキを摺るような足音の中に、ふひゅふひゅという息の音が混じる。
何かの動物のはらわたが腐ったような臭いが辺りに漂う。
とうとうボクが息を潜める目と鼻の先をヤツが通った。
人間の骸骨のような頭部。
長く筋ばった首。
二本の足で立って歩くくせに、何故か両生類を思わせる胴体と手足。
そんな全身を包む薄い皮膚は、あお向けに浮かんだフナの腹のような色。
その皮膚の下を無数の虫が這い回っているみたいに見えるのは、せわしなく脈打ってる太い血管のせい。
血の緑色が透けて見えている。
大丈夫。
まだ何とか気付かれてないみたいだ。
息を止め、唾を飲み込みたくなるのをガマンする。
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