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悲鳴が聞こえた。
よしえさんだ。
ヤツに見つかったんだ。
ボクは走る。
行ってどうするかなんて考えてない。
すっかり人のいない街を虚しく照らす街灯の明かりはたよりない。
ボクは闇に溶けるガレキの道で何度も転び、なまっ白い足とか手にたくさんのケガをつくる。
ふっくんはさっきもう食べられちゃったし、たぶんもうよしえさん以外には誰も残ってないんだ。
ボクの頬が濡れる。
いた。
角を曲がった細い道の奥。
ヤツの背中。
覆い被さられている悲鳴がひと際大きくなる。
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