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いとも簡単に、あっけなく、コンクリートでできた凶器はヤツに向かって倒れていった。
ほとんど折れていたものが、バランスを保って立っていただけだったのだろう。
ゆっくりと降りてくる電柱の意味がわからなかったみたいだ。
ボクの叫び声に振り向いていたヤツは、黒目のない真緑の目をぐりぐりと動かして迫ってくるコンクリートを不思議そうに見ていただけだった。
やった。
命中した、と思った。
だけど電柱は本当にぎりぎり、すれすれの所でヤツを掠めるようにして落ちて、砕けた。
散って、地面に跳ね返った破片も多少は当たったかもしれないけど、そんなのまったく気にも止めていなさそうだ。
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