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殆ど背負うみたいになってたルンの次は、ニノに腕引っ張られて、今度はギューギュー抱きつかれた。
「離せバカ!!苦しーだろ!!」
「別に減らないんだからいいでしょ?」
颯君が見てるだろ…って心配になって目を遣ったら。余り興味無さそうに、俺達の事見上げて。
「――騒ぐなって。アイダちゃん寝てるでしょ」
いい加減にしなさい、って呆れたように言われて。言葉のナイフに突き刺されたみたいに、思わずカラダが震えたら。
抱きついてきてたニノの腕に、また少し力がこもった気がした。
「他に言う事無いの?――アナタホントにつまんない人だね」
「つまんなくて結構です」
何だよ今度はニノと颯君が喧嘩か?って戸惑う。
「じゃあ俺が颯ちゃんの代わりに褒めてあげる。――最近の小野さん、すっごいキレイだよ?」
「――は?」
言われ慣れない言葉に、嬉しいのか何なのか実感できない間に。
「エルもね、俺もね。多分アイダさんもそう――とにかく今のあなたのキレイ度はね。周りがほっとけないくらいの史上最大級の威力なの。――自覚した方がいいよ?」
油断してると、色んなモノ奪われるかもよ?
と言った途端。頬にちゅ、って。温かいものが触れたと思ったら。
「わーい、俺ちゅーしちゃったー(笑)!!次はどうしちゃおっかな~」
「うわ!!――何すんだお前!!」
って、慌ててニノを振り払ったのと同じタイミングで。
ガタタッ!!と椅子を蹴とばしかねない勢いで颯君が立ち上がった。
あ。――もしかして…、妬いてくれてるのか?と少し期待したのに。
「――」
颯君は何も言わずにふい、っと楽屋から出て行く。
「ニノ…やりすぎだろ」
俺より酷いぞお前、と苦笑いするルンに。
「あの人のつまんないプライドとか、化けの皮とか。いろんなものを剥ぎ取りたいなぁ…なあんて思ったらついついエスカレートしちゃった…ゴメンね小野さん」
もー、アイダさんに見られたら泣いちゃうから内緒だからね?なんてニノは言うけれど。
「にのぉ…」
今にも土砂降りの勢いで泣きだしそうな声が。寝てるはずのアイダちゃんから聞こえてきた。
「げ…――アイダさん!?起きてたの?」
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