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しまった…。聞くに堪えないって出て来たはいいけど。戻るタイミングが解らなくなった俺は。
仕方なく自販機コーナーで缶コーヒーを買って、何とか自分の気持ちをコントロールしようと試みるけれど。
『次はどうしちゃおっかな~』
にの…。アイツ面白半分で、絶対本音も半分入ってるに決まってると思うと、全然怒りが収まる気がしないのに。
「――あ、颯君居た…」
缶コーヒー両手で持って、がっくりと首を項垂れてたら。
「疲れてんのか?」
俺の事探しに来てくれたのか、サトリ君が長椅子の隣に腰かけて、『大丈夫か?』って心配そうに声を掛けてくれた。
「疲れては居ないけど…ちょっと自分のココロの狭さに、自己嫌悪してるトコロです」
と、やっぱりサトリ君の顔を見ることが出来ないままで応えた。
「何で?」
「ニノにサトリ君を褒められて、嬉しくなるどころかもう、ハラワタが煮えくり返りそうになった」
「アイツ俺には謝ったよ?何かね?颯君のプライドとか、化けの皮とか。いろんなものを剥ぎ取りたかったんだって」
「なんだよソレ…」
「――今、俺にちゅーしたのアイダちゃんにバレて。号泣しながらスッゴイ怒られてるトコロ。なぁ…――楽屋帰ろ?」
「サトリ君…」
「ん?」
「――あむあむ。楽しみにしてるから」
ホントはね?貴方がキレイすぎて、楽屋に入って来た時から直視できませんでした。って素直に白状したら。
「アリガト…。颯君が向こう側に居ると思って、撮るからね?」
思わず俯いてた顔を挙げて、隣のサトリさんを見上げる。
少し傾いだ首筋の艶めかしさに。
「―――っ」
顔を埋めたくなる衝動が衝き上がるから、右手に掴んでた缶コーヒーを一気に飲み干して立ち上がった。
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