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颯君と二人で楽屋に戻ったら。
アイダちゃんはまたソファに横向きで寝そべってた。
泣いた後で瞼の周りは腫れて、鼻は幾度もティッシュで抓んだからか真っ赤になってたし。
口も見てて笑っちゃうくらい数字の3みたいに尖らせてまだ不貞腐れてる。
「あははっ…――なんだアイダちゃんその顔!チョー泣きブスになってんぞ?」
笑わないでよっ、とやっぱりちょっと面白い顔のままのアイダちゃんは寝っころがったまま俺に恨みがましそうな視線を投げてきた。
「元はと言えば、ぼーっとしててニノにちゅーされちゃったリーダーが悪いんだからね」
「俺だってヤラれて泣きそうだぞ…――そう言えばニノ何処行った?」
ヤリ逃げかアイツ、と楽屋を見回してたら。
「――人聞きの悪い…なんですかヤリ逃げって?」
ノックもせずにドアを開けて戻ってきたニノは。手にタオルと冷却ジェルパックを持って現れた。
「ほらアイダさんコレ…出番ギリギリまで瞼冷やしてなさいよ」
「はーい」
身体を捩らせて仰向けに寝たアイダちゃんの瞼に、ニノは甲斐甲斐しく、凍ってるジェルパックをタオルに包んでから乗せてやってる。
「ねーにの。俺が一番かわいい?」
「ハイハイ、可愛い可愛い。アイダさんが宇宙イチ可愛いです」
他の奴らはもう…敢えて言おう、カスであると!ってヤツですよ。
「んふふ~」
流石ニノはアイダちゃんのご機嫌を取り結ぶのが上手い。
何だかんだ言って、ニノとアイダちゃんは仲良しなトコロを俺達の前では完全オープンにしてるから。
「もうさっきからこのバカなやりとりをエンドレスリピートで聞かされる俺の身にもなれよ颯君…体よく逃げ出しやがって」
苦笑いしながら抗議してくるルンに。颯君が済まなそうに謝ってる。
「ゴメンなコノルン」
「それにあの二人とは真逆な意味で、――颯君と小野さんもやりすぎだからな?」
あんなに成れとは言わないけど、もうちょっと…――それらしくしてくれないと、俺が…忘れそうになって困るんだよ。
ルンは泣いてるのか笑ってるのか解らない曖昧な表情になった。
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