キラーチューン(颯×サトリ)

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 あむあむ発売日の後サトリさんとスケジュールが初めて被ったのは、今年二年目の学校イベント前日のリハーサル前のセット内。 グラウンド中央にある学校セットの椅子に腰かけて、台本見ながら最終確認してたら。 机に影が差したから思わず振り仰いだ。 「そーくん」 って。衣装の白衣着て脚を肩幅に開いて。俺の目の前を遮るように立ち塞がったサトリ君に驚いた俺は、 「うゎ…!!!あ、ゴメン…。何ですか、小野先生?――もしかしてお説教ですか?」 って、動揺を誤魔化すように笑いながら、後ろに少し椅子をずらした。 「説教…っちゃ。説教かな?」 これ。って両手で差し出してきた冊子はまさかの。 「あ…あむあむ…?」 ああ、俺が表紙見ただけでヘタレて先に進めなかった、あの、問題の号の女性誌。 「颯君もしかしてまだ、読んでないのかな…って思って。――何時もならすぐ感想くれるだろ。だから、持ってきた」 サトリ君は『ここで読め』と要求しているんだと解った。 「ありがとう…――じゃあ」 隣の席の椅子をくるりと背もたれを前にして跨いだサトリ君は、頬杖ついてじっと俺の事見てる。 どうする俺…万事休すってヤツじゃね? サトリ君も此処で読ませておいて、どうしろって言うんだ? 「オハヨー小野さん。――あ、颯ちゃんもおはよう…」 って、サトリ君の後ろからちっちゃくて五月蝿いヤツが現れたから、そんな必要ないのに反射的に学校机の天板の下にあむあむを隠してツッコんだ。 当然俺の不審な行動に目敏いコイツが気づかない訳がない。 「あぁ!!今生徒飛鳥井君が、机の中にイケナイ本隠したッ!」 見せろ見せろ!って飛び掛かってくるニノから、反射的に机の天板にしがみついて、中に入ったあむあむを死守する。 「小野センセイ!!俺イケナイ本なんて隠してないです!!」 わぁわぁ!とニノと二人で攻防戦を繰り広げてたら。 「お前等…『イケナイ本』とか失礼な事言うな!!」 みるみる機嫌を悪くしたサトリ君が教室セットについた階段を降りて、控室へ刷けていったのを見計らって。 「――まったくもぉ…」 あっさりとニノは俺から離れて溜息をついた。 「颯ちゃん――何やってんですかアナタは。まだ読んで無かったんですか?」 とうとう小野さん、実力行使に出てきたんでしょ。と問いかけられて初めて。コイツが今全部御見通しで一芝居打ってくれたことに気づいた。
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