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「なーんだ?…って。サトリ君?此処までやっておいてそれはないでしょう」
リビングの壁に造り付けの五段に分かれてる壁面収納ラックからCDや本が全部抜かれて。
代わりに手のひらに乗るくらいの大きさのとらえみょんやキディちゃんやりらくまさんのキャラクター人形各種と。
キャラメルの箱やぽっきーの箱。ガムの小さなパッケージまで慎重に立てられて並んでる。
ざっと見ても7~80個はあるように見える。
前の台には、空気銃2丁と、銃弾になるコルクが乗った銀色の小さな皿がスタンバイ。
もしかしなくても、射的ゲームか?
「此処に入ってた…本とCDとDVDどうしたの?」
「段ボールに入れてあっちに置いてあるよ。大丈夫!後で元に戻すから」
床にはビニールシートを広げてあって。その上には水を張ったビニールプールが置いてある。
中には色とりどりの風船ヨーヨーと。小さな金魚のビニールおもちゃがぷかぷか浮かんで。
「ホントは金魚すくいにしたかったんだけど…セットで用意しようとしたら金魚が200匹ついてくるって言われて…」
泣く泣く金魚はビニールおもちゃにしたんだ。なんて、ホントに残念そうに言うサトリ君。
「コレは…掬い遊びなのね?」
「うん!それからね?こっちが…あんずあめ」
バットに水を張って作った氷の上に、割り箸を挿したアンズやスモモやミカンが載せてあって。多分隣に置いてある水あめの瓶と最中の束を使って作っていくんだろう。
「コレが…」
懐かしの型抜きのセットとか。何とかレンジャーや何とかライダーのお面とか。
余り家の中で見たことが無いモノばかり見せられた中で一番凄かったのが。
「どうしたのこの機械…」
縦横4~50センチ。高さは80センチくらい?「COTTON CANDY MACHINE」と書いてあるから当然。
「凄いだろ?綿菓子機――10万円したぞコレ」
「え!?」
せいぜい二つ三つしか作らないだろうから…単価3万円以上の綿菓子が出来ることになる。
「――無駄遣いとか…言わせねえぞ、颯君」
こんなもモノ買って。後どうするんだ、なんて解りきってることも言わせねえぞ。
にっこり、と。綺麗な笑顔を惜しげもなく見せてくれるけど。
――サトリ君の笑顔が怖い。
何だかよく解らないけど何だか物凄く本気だ、ということだけは伝わってくる。
「ハイ…」
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