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「お帰り!」「おかえりリーダー!!」「待ってたよ?」
って皆に迎えられた小野さんは。何時もの青い台の定位置に戻ってきた。
「おう!タダイマ~――って。…オイ!!」
お約束のノリツッコミが決まったところで。
「何で俺此処に立ってるんだよ…。ゲストだろ!?」
「小野さん…5人揃って初めて…テンペストじゃないですか」
わざとらしく大袈裟に隣の処刑台から声を掛ける颯ちゃん。
『では…――参りましょう、本日の敗因を作ったのは?』
天の声に促されて。俺達は目配せをした。
「「「「「――せーの!!」」」」」
一斉に5人の人差し指が向けられたのは。
『――本日のMDTは…小野サトリ君です!!』
って天の声が告げたら、小野さんが両腕を上げて、ぶんぶん、と振ってアピールした。
「――待った…やっぱり待った!!!」
「なんですか小野さん、往生際の悪い…」
また大袈裟に溜息をつく颯ちゃんに。
「俺勝ったのに納得いかねえぞ!!」
「じゃあどうしろって言うんですか」
「ひとり道連れにしてやるから、俺に選ばせろ」
「カミサマに生贄ですか?――イイですよ?」
――あ…。
あっさり颯ちゃんが返事してるの見て。俺は凄くイヤな予感に襲われた。
右端で『居ませんよ~』ってくらい気配を殺して立ってたつもりだったのに。
真ん中に居て左隣の颯ちゃんと話してた小野さんは、くる、って振り返って俺を見たら。
「じゃあ…ニノで」
迷うことなく俺を選んだ。
「えぇぇええええ!!――貴方バカでしょ!?俺今日何点得点に貢献したと思ってるんですか?」
「いいから来いって」
「ほら…イケニエさん、カミサマが呼んでるから早く行って行って!」
なんて、俺と小野さんの間にいたアイダさんが少し避けて俺が通れるようにする。
「イケニエさんじゃない!」
抵抗してるのにアイダさんに腕掴まれて引っ張られたら。
受け渡すみたいに小野さんの方に放られて。青い処刑台の上によろけるように立たされて。
そのまま横並びに並んだら。ぐい、って迷わず肩を抱き寄せられるから。
――雛壇から、女子の黄色い悲鳴。
「まあ…運が悪かったと思って諦めてさ。ニノ、俺と一緒に…」
――堕ちてくれよ。
なんて殺し文句に赤面する間もなく。肩に込められた力が強まったと思った途端。
「え…――うぁ!!」
足元の扉が開いて。小野さん諸共強制自由落下させられた。
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