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ニノと並んで立った処刑台の足元。突如開いた奈落に、抵抗なんか許されるわけもなく呆気なく落ちて、
下のスポンジだらけのプールの中に二人で頭の上まで潜った。
「もー。ホントに小野さんのせいで俺ただの貰い事故じゃないですか!!」
文句言喚きながらスポンジをかき分けて上に浮上しようとするニノの肩を引き留めて。
「今日、行ってもいい?」
って。声拾われないように耳元で囁いたら。
「――」
返事は一瞬遅れたけど。
「そのメガネ…借りて来てくれる?」
そしたら、一晩中でも付き合ってあげる。なんて珍しく可愛い事言ってくれちゃうから。
「乗った」
一晩中だぞって。密約を交わしてたら。
『どうしましたか小野君ニノマエ君…反省の弁を』
って。甘くなりかけた雰囲気ぶち壊して、天の声が促してくる。
――っていうか。収録中にこんなことしてる俺達がヤバいのか。
「二人とも早く戻ってこい~!!」「何してんの~!!」「スポンジで溺れちゃった~?」
って上の穴から下に向かって声を投げてくるヤツらに。
スポンジかき分けて上に浮上して頭出した途端。
「誰が反省するか!!」「そーだよ俺達悪くないもん!!」
ね~って。抱き合ったまま。ニノと開き直った。
「もー。前言撤回。――二人ともこのまま撤収されなさい」
なんて言う颯君の顔を見上げたら。
仲いいのはいいけどね…貴方達やり過ぎ、って言うのが聞こえるみたいに。苦笑いしてた。
(了)
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