LOVE TIDE(ルン×アサキ)

2/46
628人が本棚に入れています
本棚に追加
/412ページ
 「え!?――何それ。貴方達…小学生!?」 信じらんない、ってテーブル挟んで座ってたニノは。わざわざ箸をとめて、珍しいモノでも見るようにまじまじと俺の顔見たから。 ――取り敢えず抗議した。 「小学生じゃないもん。俺達大人だから、分別あるお付き合いをしてるの!」 出し巻き卵一切れに大根おろしのっけて。慎重に醤油注しから数滴かけて大根おろしに染み込ませてく。 「あのさぁ。アイダさんの口から『分別ある』とか飛び出しちゃうことがすでに転変地異の始まりだから」 貴方とエルって付き合い始めてからどれくらいよ、って訊かれて。 箸でつまみ上げた出し巻き卵をそのままひと口で頬張って、もぐもぐしながら俺は言葉を濁す。 『――もうすぐ…半年…かな』 「うーわっ。それでチューだけなんでしょ?――ありえねー」 最近の中高生のほうが貴方達よりよっぽど進んでるっての。なんて、ニノから返ってくる言葉は悪口だけだから。俺だって面白くないけど。 「どうしてなんですかね…貴方にはそういう魅力が欠如してるんですかねぇ」 なんてトドメのように言われて、物凄く不安になった。 「俺って。――そんなに可愛くない?」 流石に箸もグラスにも手が付かなくなっちゃう俺に、慌てたニノが。 「アイダさん…涙目ですよ?――あのね。可愛く無かったらちゅーすらしないですよ。エルは貴方の事大事にしすぎなんですかねぇ…」 何時も二人のときどうしてるんですか?って聞かれて。 「――お互いの家に行って。一緒にご飯つくったり…。ゲームしたり。話したり…かな?」 「いいなあ友達みたいで――っ…!!いや、済みませんつい…」 今夜初めて、悪口以外の台詞を言った気がする。 「じゃあニノとリーダーはどうなの?」 「もうね。あの人が家に来たら。嫌んなるくらい押し倒されてます。俺も一緒にご飯作ったりゲームしたり話したりしたいのに。そんな暇もありません」 「――」 「だから黙って半泣きしないでくださいよアイダさん。なんですか?結局――エルに押し倒されたいんですか?」 「俺は…一緒に居られたらそれでいい」 「じゃあ今でベストじゃないですか」 「でもそれじゃあ「友達みたい」なんでしょ?」 仕方ない人ですねえ。って溜息ついたニノは。ひとつ俺にヒントをくれた。 「――環境変えてみたらどうですか。たまにはおうちデートじゃなくて。何処かに行ってみたらいじゃないですか」
/412ページ

最初のコメントを投稿しよう!