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「何で!!!?――此処は俺じゃないの!!?」
俺の肩に寄り掛かるように腕を凭せ掛けてたアイダさんは、台詞言う時は平気そうだったのに、一気に恥ずかしさを思い出したのか顔を真っ赤にして俯いた。
こんな姿見せられて内心萌えながらますます意地悪したくなるけれど。此処でまたご機嫌を損ねる訳には行かない。
「違う違う――今すぐ食べたいけど…俺仕事終わりだから、ちゃんとシャワー浴びてキレイにしてから頂きます」
ちゅ、って目の前の真っ赤な頬の熱を確かめるように唇で触れたら。
「――じゃあ俺も…一緒に入る」
ダメ?なんて。
アイダさんは俺のジャージのファスナーの金具を長い指先で抓んだら、チチチ…ってゆっくり音を確かめて焦らすように降ろしてきた。
「いいんじゃない?風呂と奥さん…一気に攻略できるから」
そしたらご飯はいらないや…って言いながら、アイダさんのシャツの下から手を刺し込んで腰を撫でたら、溜息と一緒に、Tシャツの胸を大きく息づかせた。
「お腹鳴っても、今夜は笑っちゃ…イヤだからね?」
俺だって同じ轍は二度と踏みません。
「そんなの聞こえなくなるくらい声上げさせてやるから安心しろ。――っていうか俺の腹の方が心配だ…」
アイダさんこそ笑うなよ、って言ったら。
「ルン君。――そんなの聞こえないくらい夢中にさせてあげるから安心して?」
アイダさんから仕掛けてきたのは、薄く開いた唇の隙間から熱い舌がするりと侵入してくるキス。
包み込むように俺の背に回されてた腕が、ゆるりと首に絡みついてきて、すぐに濃厚な口付けに夢中になった。
深く舌を絡めあって、溢れる唾液も熱い吐息も貪る。
角度を変えて何度も口付けを繰り返してから名残惜しそうに離れたアイダさんは。濡れた唇をゆっくりと指でなぞりながら、整わない息のままでふと唇に笑みを浮かべた。
さっきまでの可愛い柔らかさは無い、本能を掻き立てられるような凄艶な微笑み。
「――」
俺のカラダは一気に熱を覚えた。
(了)
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