キラーチューン(颯×サトリ)

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 ソファに脚組んで座って雑誌捲ってるだけなのに。 どうしてコイツは何やってもカッコよくって。どっかエロい感じが漂うんだろう。 何でだろ?って、答えを考えるの面倒くさくて、手っ取り早くルンに聞いてみたら。 「なんだソレ。――俺普通にしてるだけなのに小野さんにはそんな風に見えんのか?」 「そっか…普段からやらないとにじみ出ないのか…」 やっぱ俺向いてねえなぁ…って溜息をつく。 「どした?――小野さんがそんなことに悩むって、珍しくないか?」 たしかに俺は『ありのままでよし』って思って仕事してる部分が多いから見た目の事で滅多に悩まないし。 ルンが言うことはごもっともなんだけど。 「それがさあ…今度「あむあむ」の巻頭特集で…脱がないけど、何かスチール撮影でホテルに呼ばれて色々やらされるんだよ…」 今度やる仕事の為にアドバイスが欲しくてルンに聞いてみたら。 「へぇ…――とうとうそういうオファーが小野さんトコにも来たんだ…」 俺が唇歪めて笑うと多分『意地が悪い』とか思われるだけなんだろうけど。こいつがやると『魅力的』に見えるから不思議だ。 「俺キャラじゃねえっての…――お前代わりに行ってくれよルン」 「あむあむで…って、2年前颯君だって『向いてねえよ』『出来ねえよ』なんて言いながらちゃーんと何カ月も前からジム行って、――あれだけやれたんだから」 表紙の中吊りなんか。何枚も盗難にあったんだろ?スゲエよな。 「うん…」 確かに颯君がハダカになってたあむあむ…。俺も地下鉄で中吊り見てびっくりして。 買うかどうか迷ってるうちに、店頭から無くなったんだよな…。 手に入れなかったこと後ですげぇ後悔したっけ。 「なあルン…」 「ん?」 「俺頑張るから。イイの撮れたら。――観てくれるか?」 「小野さん言う相手違うんじゃないの?…って言いたいけど。――そうだな。俺も楽しみにしてる」 頑張れよ?って俺に投げられたルンの視線は。 やっぱりカッコよくて、目の前で見せられた俺は照れるしかなかった。
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