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学校の帰り道、僕らはいつものように小路に入っていく。
薄暗いそこは、何度来てもちょっとだけ怖い。
「なぁ。」
「ん?」
広輝が、前でゆっくりと奥へ進みながらこちらを振り向かずに話しかけてきた。
「俺さぁ。今日で最後にしようと思うんだよね。」
「……急にどうしたんだよ。」
僕らの足は、相変わらず目的の物に向かって動いている。だけど、少しだけ広輝の一歩が鈍ったのを感じた。
「なんか、こういうのは普通に面白そうかなと思ってたんだけどさ、最近行くのがちょっとアレっていうか、」
「つまらなくなってきた、と?」
すぐには返事が返って来なかった。
目的の物まで、あともう少しという所で、広輝が振り返った。
あいつの目が、僕を動けなくする。
「俺、彼女いるって前言っただろ?」
「……あぁ。」
「そいつが最近帰り一緒に帰ってほしいって。」
「うん。」
「だから……」
広輝が目をそらした。わずかな光が髪をブラウンに染めていて、きれいだと思った。
「だから、もう、やめる。」
「……分かった。」
そもそも、僕がむりやりあいつをこのことに付き合わせたんだ。いつかは言われると思っていた。
だけど、
「じゃあ、行こう。最後の。」
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