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「……帰らないのか?」
「動けない。」
「はぁ?」
あわててこちらにかけよってくる。
「ほら行くぞ。」
「あ……ラジオ。」
いまだに僕の背後では、ラジオが音を吐き出していた。
「いい。そのままで。」
そう言って僕の腕をつかみ、ぐいと引っ張った。
足がもつれそうになりながらも、2人で歩いていく。
だんだんとラジオの音が遠ざかるにつれて、寂しさがじわじわと胸に広がった。
小路を戻るのと同時に“秘密”のリスナーであった僕らは、普通の高校生の友人に戻っていく。
明日になったら、また僕らはいつも通りに笑い合い、肩を叩きあうのだろう。
そしてあいつは、彼女と幸せな放課後を過ごすのだろう。
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