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「監視役にはお前を殺せるだけの腕がなくてはいけねぇが…
誰がいい?」
土方は、己の襟元を正す山崎を見た。
土方の身なりを整え終えた山崎はバカ正直に暫く考えていたが、小さく頷いたあとに土方を見て口を開いた。
「沖田…永倉…斎藤…藤堂…伊東…原田…山南…
このあたりでしょうか」
自分を殺せると思える人物の名を真面目に答える山崎を、つくづく嘘のつけない男だな…
と、土方は思う。
そしてそんな所も気に入っていた。
本音を言えば、山崎を殺してしまう監視などつけたくはない。
誰を監視に付けるかで、山崎の生存率は随分と変わってくる。
何故なら殺せる腕があってもそれを振るえるかとなると話は別なのだから。
「……誰が…いいかな」
「ふふ…私はどなたでも構いませんよ?」
つい、甘い選択をしてしまいそうになった土方の心を見透かしたように、山崎が薄い笑いを浮かべた。
「あぁ…くそッ!!そうはいかねぇよ!
秘密を守れる固い口と、お前に言いくるめられない賢い頭が必要だ!!
それからお前に惚れないヤツ!!」
土方は己に言い聞かせるように語気を強めた。
その様子が滑稽で、山崎は思わず吹き出しそうになるのを堪えて言った。
「成る程…では数名は除外されますね」
「だな…それと…最後にこれが一番重要なんだが…」
土方の表情がにわかに硬くなった。
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