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「だいじょ~ぶ、リン?」
「な……んとかね」
太陽の光を背から浴びる彼女は、それに負けないぐらいの笑みを浮かべてリンの手を引っ張る。
女の子とは思えない力で引っ張ってリンを無理やり立たせて、さらに引っ張る。
「今日はかくれんぼだよ!」
「うん、わかったから、引っ張らないで……ユウ!」
ユウと呼ばれた少女は聞く耳を持たず、ずんずんと大股で村を闊歩していく。
「も~う。少しは自分で歩いてよ!」
「引っ張らなきゃ自分で歩くよ」
そんな会話を繰り返していたら、子供が集まっているところが見えてきた。
四歳ぐらいから十三歳ぐらいの、少年少女が六人ぐらいいて、リン達に気付くとこっちこっちと手を振ってくる。
リンはそれに声で答えるが、ユウは走るという行動で答える。そのせいでリンは転びそうになるが、なんとか転ぶのは避けた。
「ユウちゃ~ん。きょうはなにしてあしょぶの~」
「かくれんぼだよ!」
「かくれんぼ? そんな子供みたいな遊び……」
「じゃあ、ショウ君入れない」
「じょ、冗談だよ! なんてったって、俺はこの村じゃ一番の――」
「はいはい馬鹿は黙ってましょ~ね~」
ショウと呼ばれた少年と、少しばかりショウを馬鹿に少女は罵り合いを始めたが、速く遊びたいユウはすぐに止めて、ショウが鬼ねっと言った瞬間に逃げ始めた。
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