第一章 ~目覚めの時、そして~

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「待って待って、私は今はこんな姿だけど、神だよ? 君を転生させた神だからね」 「そういえば……どことなく雰囲気が似てるような……」 手を離す前に、神と名乗る鳥はするりとリンの手からすり抜ける。 「神がどうしてこんなところにいるんだ?」 リンの疑問はもっとものことだろう。多世界を統括する神は、なにかと忙しい筈なのに、たかだか人一人のためにここに来るのだから。 「いや~、いろいろこの世界についてや君の能力について教えようかなぁ~と思って」 “能力”という単語に反応するリンを見て、満足なのか頭を縦に振っている。 「それじゃ、これを見て」 羽を羽ばたかせた神の前に、空間に投影された一枚の写真が浮かぶ。どうやら、地図のようだ。 「これって……」 「そそっ。これはゼムリア大陸西部の地図。そして……」 君がいる場所はここ、と首都グランセルより西にあるところを差す神。 「……どうしてゲームの世界に俺を?」 「なんとなく……だよ。この世界は、英雄伝説空の軌跡をモチーフにした世界でね、主にゲーム通りにストーリーは進むけど、君というイレギュラーがある以上、ストーリーを変えることが出来るんだ。……その代わり、その後の展開が読めなくなるけどね」 「……なるほどね。……それで、俺の能力って?」 「既にある能力は後で教えるとして……。君が欲しいと思った能力なら一つだけ叶えてあげるよ。……ただし、不老不死とかはなしだからね。世界の理を壊すことになるから」
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