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中性的な顔、華奢な体つき、高校生にしては低い身長、自分の姿を見て凛は大きく溜め息をついた。
制服に着替え、朝食にしようと居間に向かって階段を降りていたら、二十代後半に見えるダンディーな男が新聞を片手にコーヒーを飲んでいた。
「おはよう…………凛ちゃん」
この言葉に凛の眉が少し……ではなく、かなり吊り上がり、わなわなと肩を震わせている。
凛に声を掛けた二十代後半に見える男は凛の父親、蓮華 誠二(はすか せいじ)である。
至って普通のサラリーマンだが、実は御歳四十五歳。近所からかなり若く見られるので、凛とは兄弟と勘違いしている者もいる。
「おはよう…………ロリコン親父」
ぶほっ! とコーヒーを盛大に吐いた後、誠二はガンッとコーヒーカップをソーサーに音を立てながら置き、凛に怒鳴った。
「誰がロリコンだ!! 私は健全な男だ!!」
「何が健全だ! 現に見た目小学生に間違えられるような母さんと結婚して、俺を産んだろうが!」
「はいはい喧嘩はそこまでですよ~。朝食にしましょう~?」
今にも取っ組み合いが始まりそうだった二人を止めたのは、味噌汁を持った麗奈だ。
「今日の朝食は自信作なんですよ」
「ほう~、それは楽しみだ」
麗奈のお陰ですっかり毒気が抜けた二人は食事にすることにした。
†
「母さん、行ってくるよ」
凛は遺影に手を会わせると、学生鞄を持ち玄関に向かった。
遺影の写真には凛にそっくりな女性が元気いっぱいに笑っていた。
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