第零章 ~神との邂逅~

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好奇心猫を殺すとはよく言ったものだ。凛は自重気味に苦悶の笑みを浮かべる。 朝麗奈に起こされ、誠二と毎回やるやり取りをやり、いつもの日常、変わらない日常だと思っていた。 それが、自分の好奇心ですべて壊れた。 「そう気に病むな。君にチャンスをあげよう」 神は指を鳴らして凛の死因となった痛みを消して、右手に持っていた分厚い本を開いた。 「君は運がいい。私はこれでも多世界を統括する神でね、君を違う世界に転生させよう」 「……………」 「不満かい?」 黙っていた凛を心配しているのか、椅子に座るよう促し、凛は椅子に座った。 「ふぅ~。君はコーヒーがいいかい? それとも紅茶がいいかい?」 「……コーヒーで」 そうかと答えた神は指を鳴らして、何もない空間から二つのマグカップを出した。 二つのマグカップには黒い液体と赤色の液体が入っていた。おそらく、黒い液体がコーヒーで、赤色の液体が紅茶だろう。 「……いただきます」 「……家族が心配かい?」 ビクッと体を震わせる凛。神はすべて知っていると言いたげな顔をしている。 「まぁ死んだ自分より、他人を心配する君は優しいのだろうね」 「俺がいなくなれば、きっとあの二人は悲しむ」 「だろうね。でも、君の代わりはいるから安心しなさい」 「どういうこと?」 「あの二人の間に新しい命が宿っているということだよ。不幸は幸福で覆い隠せるからね」
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