*世界観*

2/2
前へ
/9ページ
次へ
  しかしそんな[シュトレイド]で何よりも恐れられていたのは王族や貴族、反乱軍ではなかった。 それは[笛吹き男のパレェド]と呼ばれるおかしな犯罪集団。 そのメンバーは誰もが童話の登場人物の名前をコードネームとしてもちながら、子供を楽しませる童話とかけ離れた冷酷で無慈悲な犯罪を繰り返して人々の生活を脅かしていた。 [あかずきん][人魚姫][シンデレラ][荊姫][白雪姫][桃太郎][青髭]…… 他にも様々な名をもつ者がいる そしてその組織を纏めるのは [笛吹き男]と呼ばれる一人の男 男が一度笛を奏でれば、子供達は家族のことも友人のことも全て忘れて男に着いていってしまう。 そして誰一人として 二度と生きて帰ることはなかった バラバラにされ木に吊るされ 崖に吊るされ鳥に身を啄まれ 剥製にされた姿で街に置かれ 手足がそれぞれ違う人物のものを縫って繋がれ 行方知れずとなった子供達で発見された者は、その誰もが凄惨な姿にされていた 見付からぬ者の行方は もう誰にも分からない しかし人心が荒み始めたこの世界ではそんな笛吹き男の元にも人が集う 王族や貴族に反感をもつ者 他種族に嫌悪を抱く者 ただ己の欲を満たしたい者 笛吹き男の行いを賛美する者 全てに絶望し行くあてもない者 そんな者達が集まり 笛吹き男の後ろには長い行列 それはまるでパレードのように その組織に命令する者はいない 故に彼らの標的は一つではない それぞれが違う目的をもち それぞれが違う犯罪を繰り返す そんな彼等が集う おかしなおかしなパレード 今日もまた 愉快な音色をならして イカれた笛吹き男を先頭に 楽しい楽しいパレェドが始まる [4/14]
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加