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そこで珠子はもう一発、男たちの足元に威嚇射撃をした。
そして叫ぶ。
「早く来てくれ!全員確保できん!!」
その怒鳴り声に、男たちは珠子の後ろに本当に何人かいると感じたらしい。
「くそっ!退けっ!!」
男たちの誰かがそう叫んだ瞬間、男たちは我先にと、その場から逃げ出していった。
それでも何人か戦おうと日本刀を構えていたが、仲間たちが逃げ出していくので動揺したようだ。
仲間の後に続いて、残りの男たちも逃げ出したのだった。
「しっかりして。大丈夫ですか?」
男たちがその場から立ち去っていくと、珠子は囲まれていた男の元に向かう。
男は意識もしっかりせず、後頭部からはおびただしい量の出血が見られる。
「とにかく…救急車を…」
呼ぼうとしたが、携帯は圏外だという事を思い出した。
「ちっくしょうっ…」
およそ女性らしからぬ声を上げると、着ていた紺のブレザーを脱ぎ白いシャツも脱ぎ捨てた。
そこでシャツで男の後頭部を押さえつけ、止血だけでも試みた。
その時だった。
珠子の背後から、先程の男たちの残党と思われる男が一人、抜き身の刀を片手に近づいてきていた。
男はある程度まで接近すると
「天誅!!」
と叫び、珠子を斬ろうと刀を振り下ろす。
「っ!?」
男の気配に全く気付かなかった珠子は、なすすべもなく男に斬られる。
……はずだった。
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