将来が勇者な奴は結構きもい

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 科学は時代遅れ。  周囲がそう認識し始めた頃、ある科学者がとある砂漠の中で寂れた遺跡を発見した。それは現代の力では到底不可能な構造ばかり。ハッキリ言ってとても人間の代物とは思えないものばかりだった。  密閉されたはずの場所で風が吹き、石作りの地面に花が咲いた。  液体が宙を浮き形を刃に変え、どこからともなく獣の形をした炎がひとりでに動き出した。 『この地球には我々の知らない世界が存在する』  そう確信した彼は数十年の月日を犠牲にすることで、ついにその摩訶不思議な力を自在に操る手段を発明した。  彼はその力を『魔法』と名付けた。  それから時は数千年。  魔法は最早文明にまで浸透しきった頃、突如として襲いかかる異変……『悪魔』。  現代最高戦力である魔法は通じず、生物全てに牙を向ける程の獰猛さ。月日が経つ毎に劇的に増え続けるほどの繁殖力。  圧倒的な生命力を誇る悪魔は、遂に昨日まであった町を一日で壊滅させる程にまで繁殖した。  魔法が武器の人々に悪魔を倒す手段は、ない。  そんな中だった、一人の勇者が現れたのは。  旧暦二〇十二年。  校庭でワイワイ遊ぶ子ども達を太陽が燦々と照らす中、同い年であろう子ども達とは距離を置き、一人でブランコに座るお高そうな服を着た金髪の女の子がいた。 「……納得いきませんわね」
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