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どうやら非常に向かっ腹が立っている様子で、目の前の子供達を恨めしそうに睨みつけていた。
どうしてワタクシがこのような何の飾り気もない貧相なブランコで窮屈な思いをしなければならないのでしょう。
そんなことを思うと余計腹が立ってしまうというのに。気づかない少女にフラストレーションはもくもくと溜まり、ついに抑えきれなくなって……
「ええい、そこの庶民共。ここで遊ぶからにはワタクシも混ぜないとタダじゃおきませんわよッ!!」
少女の絶叫が響いた。
怒りに歪みきった顔は子供達にはまだ耐えられる物でなく、泣きながら公園を飛び出していった。この後帰った子ども達は、公園で鬼を見たとお母さんにワンワンと泣きついたそうな。
ひとりになった少女は、誇らしげに胸を張る。
「フン、ワタクシを差し置いて遊びに惚けるなんて貴族への態度がなっていませんわ!!」
公園を去っていった女の子はどこか寂しそうだった。
少女が家へ帰っても、誰もいない。
「どうしてワタクシともあろう者がこんな恥をかかなければならないのかしら」
学校へ行っても、公園にいっても、どこへ行ってもいつもひとり。分かっている、本当は自分が悪いって。
でもやっぱり貴族としてのプライドというものは捨てられなかった。最近になって母から教わったものだが、少女にとってはこの上なく素晴らしい物だと感じていたから。
『いい? 貴族というのはね、いつでもみんなの上に立たないといけないの。みんなをはげましたりやる気にさせたり、悪いことをしたらしかってあげて良いことをしたらほめてあげる。みんなを正しい道にひっぱってやれるのが本当の貴族なの』
って、この話はまだ子供には分からないか。と苦笑いをしつつ頭を撫でてくれていたのを覚えている。
「ワタクシ、みんなをひっぱっていけるのでしょうか」
何となくでた一言だった。
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