金髪ドリルといえばワタクシでしてよ。

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 あの日から十年弱もの月日が流れ、少女は今。 「いけ、行くのですコブラ。そこでジャイアントスイングですのおおおおおお!!」  ラリアットの拍子で倒れたカルメンをワタクシの推しメン、コブラがすかさずジャイアントスイングッ。そのまま投げられたカルメンはリング外へスポンと飛んでいきました。  裸の男と男のむさ苦しいながらも緻密に計算された血気あふれる格闘技、ぷろれす。妹に見せられて以来部屋から抜け出せないくらいにハマってしまいましたの。  それにテレビを見ながら優雅にコーヒーをすするのは貴族のたしなみでもあり、風雅でもあります。とにかく今ワタクシは最高のセレブライフを満喫しているのです。  そんな時でした、人の楽しみを粉々にされたのは。 「ルシーナ、アンタまたお使いサボったわね」  顔を真っ赤にしながらプンスカ怒鳴る野蛮な女はガブリエル。腐ってもワタクシの妹です、赤い髪を二つに結んでいるのが特徴ですわ。 「腐ってんのはどっちよ!! いっつも頼んだら分かりましたわって言う割に必ずすっぽかす癖にッ。それとアタシは姉だッ!!」  分かっているなら頼まなければ良いでしょうに。 「あ゛?」  瞬間、ワタクシが座っていた三人ほど座れる幅のソファーが一瞬にしてわずかひとり分に収まりましたの。 「ガ、ガブリエル。その刃物を納めなさい」  すると今度は取り出した大剣を超高速で横一文字で振り切りました。衝撃波で後ろの壁にはなんと深い傷跡が。  自身の武器を肩に携える妹に、正直生命を奪う事への戸惑いは感じられませんでした。殺されますわ!! 「今度からちゃんと頼まれたお使い行ってくれるよね、妹?」 「ワタクシはあね」  首下には剣先が、息が苦しくなるほどの圧力がのしかかる。 「いくわよね?」 「は、はひお姉さま」  ニコリと笑うバイオレンスな妹にワタクシは二つ返事をするしかありませんでした。
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