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「そ…それはどういう…」
「別に涼介なんかのせいでここまで面倒なことにはならないでしょ」
ズバッと京に言われて、顔が引き攣る。
「んなっ……」
「だって本当の事でしょ。それに亜子ちゃんも愛佳ちゃんも、そんな弱い人じゃない。」
「…!」
その通り、かもしれない。
「それにね、亜子ちゃんの方には俺の自慢の彼女がついてるんだ。亜子ちゃんはきっと有沙の言葉で強い心を持てる。だよね?」
いつものように眠たそうな瞳は変わらない。だが口元は笑っていた。
思わず、笑いが零れた。
「…はは」
「えー!?ここって笑うとこ!?俺ね、結構かっこいいこと言ったと思うんだけどー」
「…、お前どんだけ自分の彼女に自信持ってんだよ」
「えっ、だって本当のことじゃん。」
「…まあ、そうだけどさ」
俺は微笑む。
「…有沙なら、東雲さんを元気付けてくれるよな」
その時。
「…あ、噂をすれば。」
京が向こうを指差す。その指の先には…
「おーい」
有沙と東雲さんが立っていた。
「あいくんといのくんがね、焼きそば買ってきたから皆で食べようだってー」
「あ、あいくんっていうのは祐樹のことで、いのくんは井上くんですよー!」
大声で叫ぶ有沙の横で、東雲さんが必死で名前を訳す。
彼女の様子は、いつもと変わらず元気そうだった。
「うん、わかったー」
珍しく大声で返事をした京が、こちらを向いてにこっと笑った。
「俺の言う通り、でしょ?」
俺は笑った。
「…ああ、そうだな」
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