エピローグ

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「えっ?…ああ、お前も見てたのか。」 その言葉を聞いて、何処かで月を見上げている三善の姿が浮かんだ。 月を見上げながら、以前は美月としていた会話を、三善としている事に苦笑する。 「生夢。」 「ん?」 「俺、そっちの趣味は無いから。」 「…え、どういう事?」 「…」 意味が解らず俺はもう一度三善に聞く。 「そっちの趣味って…」 突然、三善は笑い出した。 意味が全く解らず、俺は黙って三善の笑い声が治まるのを待った。 「生夢ってさ、夏目漱石のI love you って知ってる?」 ひとしきり笑うと三善が聞いてきた。 「夏目漱石?…いや、知らない。」 「…そういや、理系だったな大学。」 勝手に納得している三善は、意味が解らない俺を置いてきぼりにして、どこか楽しそうだった。 「…美月に『月が綺麗だね。』って言った事は?」 「…え?…ああ、有る…かな。 さっきから質問ばかりだな。」 「…ふーん。」 突然不機嫌な声になり、三善は言った。 「調べてみなよ。 じゃあ、またな。」 タバコに火を付けて、俺は『夏目漱石のI love you 』を調べた。 その答えに戸惑い、照れ、やがて笑いが込み上げた。 そっちの趣味って… あ、さっきの不機嫌な態度はヤキモチか… 俺はタバコを吸いながら、1人で笑った。 そして、俺はもう一度、月を見上げた。 美月、 『またな。』って三善が言ってたよ。 「さて、頑張りますか。」 俺はタバコを消して、立ち上がると屋上のドアに向かった。 ーENDー
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