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約4ヶ月振りに見る志織は、分娩台の上で満ち足りた表情で俺に微笑んだ。 志織は、疲れた表情をかき消すほどの強い生命力に溢れ、その堂々とした美しさは俺を圧倒した。 『子供が産まれた時を、私達の始まりにしたい。』 このまま里帰り出産をするのは自然の事だと。 子供が産まれたら迎えに来て欲しいと。 志織はそう言って、俺に時間をくれた。 美月の死後、俺は実家に戻り、仕事に復帰した。 時間の流れや日々の生活は悲しみを癒し、俺は美月のいない現実を少しずつ受け入れた。 四十九日が過ぎ、納骨を済ませ、季節は初夏を迎えた。 梅雨入り宣言が出たばかりの快晴の日、志織の母親から連絡をもらった。 岡崎の運転する車の中で、俺は自問自答を繰り返していた。 美月の死を受け入れたからと言って、志織と新しい生活を始める覚悟ができているかと言ったら嘘になる。 何度も志織を裏切り、何度も彼女を傷つけ、何度も甘えて来た俺に、そんな資格はあるのか? 美月の事を封印して、彼女と子供を幸せにできるのか? 何の答えも出せないまま病院に着くと、分娩室前のソファに座る志織の母親を見つけた。
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