出会い

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「お先でーす。」 「お疲れ様。」 田原の背中から、パソコンの画面に視線を戻す。 水曜の早帰り日のせいか、まだ20時だというのにフロアには誰も残っていなかった。 塩崎の携帯の件で予定が狂い、会社に戻ってきた時には19時を回っていた。 メールのチェックが終わったが、まだ明後日の会議用のPowerPointの作成が残っている。 結局はいつも通りか… 携帯を開いてメールを打つ。 『ごめん。やっぱ今日残業。』 5分程経って美由紀から返信が届いた。 『そっかあ。あんまり無理しないでね。拓巳には私から言っとくね。』 長男の拓巳とプラモデルを作る約束をしていた。 日曜日に美由紀の両親が遊びに来て拓巳に買ってくれた物だったが、小学2年生にはパーツが複雑で難しいため手伝ってやる必要があった。 今朝の拓巳の笑顔を思い出す。 直接話した方がいいかな… 携帯を開いて発信履歴を見ると、未登録の携帯番号が目についた。
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