3231人が本棚に入れています
本棚に追加
仕事が終わって店を出ると、
もうすっかり散ってしまった桜の花びらが風に舞っていた。
瑞希にもこの桜見せてやりたかったな…
そう思いながら俺は、シャワーだけ浴びようと家に向かって歩いていた。
「よう、桔平」
朝方の街で涼に呼び止められる。
「あれ?涼さんこんな朝方にどうしたんですか?」
「あぁ…ちょっとヤボ用でな」
なんだかあまり聞いて欲しくないようなそぶりだったから俺はそれ以上聞くのを辞めた。
「涼さん、一緒に朝メシでも行きますか?」
「おぅ、いいな。
あの定食屋は朝早くからやってるから行くか」
俺と涼が初めて一緒に食べた朝メシの定食屋。
まだあれから3ヶ月しか経ってないなんて思えないくらい、俺は涼と深く関われた気がする。
「涼さん…
本当に…色々面倒ばっかかけてすいませんでした。
俺、もっと強くなります」
俺の言葉に涼はフッと笑った。
「お前はすげぇ男だと思うよ。
あの瑞希を本気で惚れさせたんだからな」
涼の言葉に俺もクスっと笑った。
…今の俺があるのは…
涼さんのおかげです…。
最初のコメントを投稿しよう!